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  古代ローマをテーマとするゲームについて徒然に書き連ねます

Carthageリプレー(シナリオNo.3)CR Scenario3 Replay

Carthage シナリオ3「Hiero, Hero or Gyro?」リプレー (Part. 4)

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プレーしてみての感想と考察などです


プレー後の感想と勝敗のポイントなど:
 たったの2ターンと、「かなり短い」を超えて「短過ぎ」です。が、初めて真面目にプレーしたせいでやたらと時間がかかりました

 史実では第2ターンにヒエロがローマと和睦、同盟国となっているので、史実通りに進めばヒエロは寝返らないことになります。ただ、ローマとしてはヒエロがカルタゴ側に付いたままでは苦しい展開となる気がします。さらに、史実と異なりカルタゴが援軍を得られることもこの傾向に拍車をかけています。そう考えると、ゲームデザイナー的にはヒエロが寝返ることを想定しているのでしょう

 ターン数が少なく、初動でのミスや不運で流れが傾くと押し戻すための対策を講じる時間的余裕がありません。なので、本シナリオの位置づけは、第1次ポエニ戦争キャンペーン(シナリオ4)に先立ちシステム(特に艦隊運用)になれるための練習用だと思います

 勝敗を左右したポイントはいくつかあると思いますが、おそらく最も大きいものとして、艦隊決戦前にカルタゴ艦隊の半数が離散してしまったことが挙げられます。本来カルタゴは、その圧倒的な海軍力によりローマの渡峡を可能な限り妨害するのが基本方針だったはずなのですが、一過性に弱体化したことで隙ができ、フルウィウスに渡峡の強行を決意させてしまいました。それにより海戦に引き込まれて敗北、それがローマの戦力集中を許す結果へと繋がったことを考えると、カルタゴ敗退の主因とみなせるのではないでしょうか?
 加えて、提督ハンニバルが帰港に失敗し、遭難により艦隊共々失われるという本リプレー最大の悲劇はカルタゴから海上における主導権を完全に奪い、カルタゴ海軍の凋落を助長しました

 ローマのもう一つの勝因は、執政官LAMが2個ともハンノよりも先に引かれたことです。これにより、両執政官はそれぞれ、単独でヒエロと対戦することができ、このことがヒエロの撃破、そしてメッサナの解放につながりました。ハンノが援護に駆けつけてしまったら、第1ターン中のメッサナ解放はかなり困難だったと思います。もっとも、フルウィウスの渡峡妨害さえできていれば生じなかったわけですが

 さらに、ケファロエディウム包囲中に攻城戦損耗が2回続いたこともローマの勝利に大きく貢献しました。これによりカルタゴ第T軍の戦力は漸減し、決戦前にカルタゴに不利な状況が確立していった感は否めません

 最後のポイントは、第2ターン終盤に、LAMプールにはカルタゴリーダーのLAMも2個存在していたにも関わらず、執政官LAMが3回連続で引かれたことです。この間にローマは勝利ポイントで並んだだけでなく、ハンノを葬り去る大成果を挙げました。上記攻城戦損耗の件とも関係しますが、せめてギスゴのLAMでも引かれていれば、ケファロエディウムの状況はもっと違ったものになっていたはずです

 以上、作戦方針とは直接には関係のない、運によって左右されたポイントについて列挙してみました。方針決定時の問題点に関しては次の項で記していこうと思います


ローマ陣営の考察と反省点など:
 2個しかないLAMをどのように割り当てるかが、第1ターンの重要な検討事項でした。結果的に1人1回ずつの任務となりましたが、2個ともクラウディウスの活性化に使う覚悟で臨みました。第1ターン中にメッサナを解放するためにはこれが妥当な選択だと思いますが、もしヒエロに頼らず全て自力で対処するつもりなら戦力集中の原則に従う方が良いと思います。2ターンしかないので若干ギャンブル性に富んだ作戦方針を立てましたが、キャンペーンを戦い抜くシナリオ4では確実性を重視すべきでしょう
 しかし、いかにギャンブル要素の強い選択をせざるを得なかったとはいえ、渡峡を巡って海戦に訴えたのは少々やり過ぎだったかもしれません。サイの目が良かったからいいようなものの、執政官軍が1個まるごとメッサナの海底に沈んでしまう危険も多分にあったわけです

 ゲームが成り立つためにメッサナ支配の維持は当然として、それに加えて中都市のいずれかを占領するというのが基本路線でした。今回はパノルムスをターゲットにしましたが、他の中都市を目標とする案はどうだったでしょうか?現実的に考えて、奥の2都市(リリバエウムとドレパヌム)を狙うにはパノルムスを通過しなければならず、それよりもパノルムス攻撃の方が手間が少なくて済みます
 となると、アグリゲントゥムを目標とすることの是非を考察することになります。アグリゲントゥムへの接近経路は、南北の大きく2方向があります。しかし、南側の経路は河川もしくは山岳を通過しなければならず、いくら途中で敵がいないからと言っても、最低でも10ポイントも損耗が蓄積するため不適です。選ぶなら4ポイントの損耗で済む北側のケファロエディウム経由が良いと思います
 では、攻略対象としてのアグリゲントゥムをパノルムスと比較します。どちらも歩兵1戦力が守備していますが、「攻略し易さ」を考えると2都市間にはかなりの格差があります。任務を完了したくないので、都市の占領ではできるかぎり強制降伏を選択すると思います。その際に必要な戦力が「強襲防御力の10倍以上の歩兵戦力」であるのが問題です
 本シナリオのパノルムスは一般的な中都市扱いで、固有防御力3なので強襲防御力も守備隊歩兵戦力の3倍で3、強制降伏施行条件を満たすために必要な歩兵は30戦力ですが、アグリゲントゥムは当時の重要性を反映してか固有防御力5、強襲防御力も5であるため必要な歩兵は50戦力に及びます。2個執政官軍なら達成可能な数字ですが、現実的にはなかなか難しいと思うのでパノルムス占領の方が容易でしょう

 終盤、ケファロエディウムでハンノに対して攻城戦決戦を挑んでいますが、果たして必要だったのでしょうか?単純に包囲を続ければよかったのではないかとも感じますが、その場合はハンノのLAMが残ったままになるため、その後活性化したハンノが撃って出てきた場合、ローマ側に有利な修正は多いものの、勝利確定というわけではありません
 攻撃側ハンノ軍は歩兵のみで13戦力、対する包囲中のウァレリウス軍は歩兵27+騎兵7=34戦力、戦力比1:3で修正-3。騎兵はローマが7戦力優勢で-1。エリート修正はローマにベテラン1部隊で-1なので、合計で-5となりローマが圧倒的に有利のような気がしますが、実際は戦闘力が同じなので戦術能力修正は最大+5まであり、これまでのマイナス修正が相殺されてしまう可能性も0ではありません。となると、純粋に出た目勝負なので最悪の場合は10/20で敗北となってしまいます(戦術能力修正で-5、合計-10を得る可能性ももちろんあるのですが)
 ここまで極端なことはそうそうないでしょうから、結局どの方針を採用するかは好みの問題ですが、今回は後顧の憂いを絶つために強襲を選択し、ハンノを始末できたので結果的には成功だったと思います


カルタゴ陣営の考察と反省点など:
 敗者なので、カルタゴ陣営は反省点がメインです

 まずは、最初のLAMにヒエロを選ぶことが当然のように計画を立案しましたが、これが適切なのかどうかの検討です。同じような開始条件であるシナリオ4は、ルールブックのリプレーでも、BoardGameGeekのAARでもヒエロを第1LAMとしていたので、本シナリオでもそのままヒエロを初動に用いました
 メッサナの包囲が解かれてしまえば、ヒエロの状況に関わらずシラクサの離反は決定なので、両方の条件が一度に成立する方が理にかなっています(負けたヒエロは戦力が減少するのでローマに組した時には弱体化している)。ハンノが包囲して敗北し、カルタゴの戦力が減少した状態でヒエロに寝返られる方が悲惨です。第1LAMとしてヒエロを選択したのは妥当であったと思います

 ただ、シラクサ軍の初期配置には問題がありました。メッサナ包囲時の策源、およびローマ進軍の妨害としてメッサナ周囲の都市に自由配置の1戦力歩兵を割り当てましたが、もともと、西シチリアの中都市群を守るために北岸道路沿いの小都市を占領するつもりだったので、ケファロエディウムが包囲された場合に策源となるティンダリスへの配置は明らかなミスです。西シチリアの中都市群へローマ軍が接近する際のことだけを念頭に置いていて、ヒエロが寝返った後のことを全く考慮しておらず、攻城戦損耗が連続したために状況はさらに悪化しました

 第1ターンのハンノ軍の行動も問題がありました。守備隊としてリリバエウムに歩兵1戦力残しましたが、これによりハンノ軍は総勢19戦力となったために川岸支配の条件を満たせず、ローマ軍は0へクス迎撃される可能性を考慮することなくケファロエディウムに接近できた結果、ハンノは簡単に包囲されてしまいました
 第1ターン、ハンノは最終LAMのリーダーであり、次のターンに増援としてリリバエウムにギスゴ軍が登場することも分かっていたので、守備隊を残す必要性は全くなかったと言えます。当時、ウァレリウス軍は36戦力あったため、1:2の不利な戦力比をおしてまで0へクス迎撃するかどうか不明ですが、敵軍を悩ませる要素を少しでも多く用意することは、特に対人戦では重要です(今回はソリティアですが)

 次なるポイントは、オタキリウス接近時のギスゴ軍の行動です。迎撃か?回避か?今回は回避を選択し、結果的に失敗していますが、迎撃するという選択はなかったのでしょうか?
 迎撃に失敗しても、現在の任務フェイズ中に攻撃された場合に+2の修正が加わるだけです。都市内のギスゴが同じ任務フェイズ中に攻撃されることはないので、包囲されてしまうぐらいなら迎撃を試みてもよかったのかもしれません。ただし、かなりの悪条件なので覚悟は必要です



 以上、両陣営に関して気が付いたことを書き並べてみました。制限ターンがもうちょっと長ければまた違った展開と考察になるかと思いますが、ギャンブル性が強くならざるを得ないシナリオなので、他のシナリオでも役に立つような内容になっていないのが少し残念です


 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました    hamashin



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